牛乳を飲もうと冷蔵庫を見れば、昨日飲み干してしまったのだったと気づく朝。
小さな「はぁ。」というため息が、心の中に生まれます。
仕事へ出かけるために家を出て、忘れ物に気がついて、一度家へ戻ったら、急いで荷物を鞄にしまい、また玄関を施錠します。
電車に乗り遅れまいと、小走りで駅まで走るも間に合わず、一人ホームに残されます。
またも心に小さな「はぁ。」。
職場でも、仕事のミスが重なって、周りからの痛い視線。
自分の席で小さく「はぁ。」。
帰り道。結んだ髪をほどこうと、結び目へ手を掛けたとたん、ゴムはパチンと切れてしまい、またも心で小さな「はぁ。」。
1日に何度もこぼれた、ため息たち。
ひとつひとつを思うと何だか悲しくて、苦しくて、辛くなって———。
髪ゴムがパチンと弾けるのと同じように、ぷつんと切れた心の糸。
ぽろり、ぽろりと、涙が頬をつたいます。
(“こんな事“で泣いてしまうだなんて、自分は何て弱いんだろう。)
“こんな事“は、ほんの小さな切り傷だけど、真正面から受け続けると、傷だらけになっていて。
もうどれが致命傷になるのかも、今はとうに見分けが付かず、傷の手当てすら面倒で。
泣く事すら責めてたら、自分の許し方を忘れてしまい、自分で自分を嫌いになって———。
幼い頃、綺麗と指した夕焼けも、今ではすっかりくすんで見えます。
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ただ、どうか、あなたの心が傷ついた事、あなただけは気づいてあげて。
あなたが辛くて泣いた事、あなただけは許してあげて。
辛いと思った感情に、どうか嘘はつかないで。
泣いて、泣いて、疲れ果て、眠りについたら明日もまた、いつものように朝を迎える。
あなたのことをあなた自身で許せる未来、
私は切に願います。